対馬「混乗便」休止へ JR九州高速船 国際線再開後も寄港せず

博多港に向け初めて運行するジェットフォイルのビートル「混乗便」に乗り込む島民ら=対馬市上対馬町、比田勝港(2018年7月23日撮影)

 長崎県対馬市は30日、JR九州高速船(福岡市)が韓国・釜山港-博多港間の国際線で運航し、寄港地の対馬発着の国内線客も相乗りできる「混乗便」について、新型コロナウイルス感染症の影響で運休している国際線再開後も同社が混乗便を休止する方針であることを明らかにした。同日の市議会全員協議会で説明した。
 対馬市と同社によると、混乗便は博多までフェリーで約6時間かかる対馬北部地域の生活環境改善のため2018年7月23日から運航開始。同社が3隻保有しているジェットフォイル(客席各191席)では約2時間で対馬北部の比田勝港-博多港間を結び、このうち最大78席が国内線客用に割り当てられていた。
 しかし、新型コロナ禍で3月7日から混乗便が運休。博多-釜山間を約3時間で結んできた直行便も同月9日から運休している。
 こうした中、同社は10月に新船「クイーンビートル」(客席502席)を導入。船体は大型化した一方、新船を使った博多-釜山間の所要時間は3時間40分に延びる。同社は「事業規模を縮小し収支改善を目指すため」として、国際線再開後はクイーンビートル1隻での運航体制とし、比田勝には寄港しない方針を市に伝えた。
 同社は保有しているジェットフォイル3隻について、売却を含めて検討中。水野正幸社長は長崎新聞の取材に「対馬の地域振興に役立てればと考えてきたが、経営を立て直すことが喫緊の課題」と述べた。対馬市の比田勝尚喜市長は「福岡に通院する市民にとって生活の足。今後も混乗便再開に向けた協議を続けていきたい」と話した。

 


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