核禁条約「GoToヒジュン!」 国会論戦活性化へ仲間募る

長崎大の講義で、「Go To ヒジュン!キャンペーン」に一緒に取り組む仲間を募る中村さん=長崎市、同大文教キャンパス

 核兵器の開発から使用までを全面的に禁じる核兵器禁止条約が来年1月22日に発効することが決まったことを受け、本県出身の大学生ら有志が、日本政府に条約の批准を促す取り組みを始めた。衆参の国会議員との面会で条約の意義を直接訴え、国会での論戦を盛り上げて条約に背を向ける政府を動かす狙い。本県出身で、いずれも上智大2年の中村涼香さん(20)=長崎市出身=、山口紗希さん(20)=佐世保市出身=は「被爆地の若者だからこそ訴える力がある」として、共に活動する本県の若い仲間を募っている。
 活動の名は「Go To ヒジュン!キャンペーン」。全ての国・地域に条約への批准を求める「ヒバクシャ国際署名」について、現職国会議員にその賛否を尋ねてきたインターネットサイト「議員ウォッチ」の運営に携わる首都圏の学生ら約40人が参加している。
 関係者によると、全国会議員に占める同署名への賛同率は、7月時点で16%。調査担当の高橋悠太さん(20)=慶応大2年=は「(議員が賛同しないのは)条約に対する認識のずれや、不勉強がつながっている面もある」と分析。議員に条約の意義を直接訴え、関心を高めることの狙いを強調する。10月24日に条約発効が決まると、賛同率は22%(今月26日時点)に上昇した。
 キャンペーンでは、都道府県ごとに担当者を決め、同署名への賛同の意思を示していない議員に働き掛けていく。年内に賛同率30%、来年末までに50%を目標にしている。
 中村さんは2018、19年にノルウェー派遣高校生平和大使に、山口さんは16年にフィリピン派遣高校生平和大使に選出され、被爆地から世界に向け平和を発信してきた。「政府が被爆者の訴えや痛みに寄り添わないのは不誠実」「被爆地の若者として、被爆者の力になりたい」-。そんな思いが原動力という。
 新型コロナウイルス問題の影響で、大学のオンライン講義が本年度いっぱい続くことから、2人は当面県内の実家に滞在予定。この間に仲間を増やし、本県関係国会議員について、全員の賛同を目指す。
 中村さんは24日、核問題をテーマにした長崎大の講義に登壇。約80人の学生に「学生が議員に対し、真剣に考えているという意思表示をすることは重要なこと」と活動への参加を呼び掛けた。山口さんも取材に「核問題で何をしていいか分からない若者が、活動するきっかけづくりになれば」と話す。
 2人への問い合わせは、議員ウォッチ(https://giinwatch.jp/)の専用フォームから。

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