「自主防災組織を充実整備」 島原市長に3選した 古川隆三郎さん(64)

古川隆三郎さん

 〈22日告示の島原市長選で無投票当選を果たした。3期目の市政運営について聞いた〉

 -前回に続き2度目の無投票。どのように受け止めるか。
 自分自身は真っすぐに走ってきたつもり。市民の皆さまから評価をいただきたい、という意味で選挙はあるべきと思った。だが、無投票という形で負託を受けることになり、むしろこの体がつぶれるくらいの重責を感じている。

 -2期目の成果は。
 市庁舎建設もあるが、政策の“一丁目一番地”である子育て支援に力を入れてきた。来年5月には、小児科院併設の病児保育施設もできる。合計特殊出生率が全国平均、県平均以上を維持してるのは「もう一人、あと一人」という子育てマインドを維持してきた成果が出ていると思う。

 -まちづくりの展望は。
 1期目終盤、イオン島原店の閉鎖か建て替えかという問題が起きた。土地建物を所有する島原鉄道が長崎自動車傘下になるなどの変化もあったが、存続を訴え続けた結果、撤退による空洞化を回避でき、中心市街地の再開発に道筋がついた。
 三会地区で進む農業基盤整備によって、確実に農業収益が上がっている。これによって農家にお嫁さんが来て、第3子、第4子の誕生も増加傾向にあると聞く。整備が連動してきたという思いもある。

 -積み残した課題は。
 行政というシステムが縦割りで硬直している。前例踏襲からなかなか脱却できていない現状はもったいないことだらけ。職員と一緒になって前例踏襲から脱却すべきだというのが自身の反省。特に産業、観光分野など、もっと柔軟に動ける市役所にしたいとの思いが強い。島原城と城下町、この歴史的文化遺産をきちんと評価しながら観光につなげていくことは、民間と一緒じゃないとできない。

 -3期目の抱負を。
 コロナ禍にあって都市部の企業を中心にテレワーク(在宅勤務)やリモートワーク(遠隔勤務)が加速度的に進みつつある。情報の流れを鋭く捉え、田舎で起業できるようなベンチャー企業の誘致を進めたい。
 来年は雲仙・普賢岳噴火災害から30年の節目。無人化施工発祥の地として、技術開発の拠点、資格取得の場として展開し、雇用創造につなげたい。未曽有の噴火災害を経験した島原市としては、全国からいただいた支援の恩返しとして自主防災組織の充実整備を推進する。

 【略歴】ふるかわ・りゅうざぶろう 島原市出身。「庶民派」と言われるのが好きで、市民と同じ目線に立つことを心掛けているという。趣味はアウトドア。子ども3人と孫8人がいる。広馬場町在住。

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