伊東静雄賞 おおむらさん「ひまわりがさいている」選出

 優れた現代詩に送る第31回伊東静雄賞(諫早市芸術文化連盟、伊東静雄顕彰委員会主催)は、新潟市のおおむらたかじさん(78)の「ひまわりがさいている」に決まった。
 新型コロナウイルス禍にもかかわらず国内外から昨年を上回る964編の応募があり、平野宏氏、田中俊廣氏による第1次選考、井川博年氏、以倉紘平氏による最終選考で決めた。賞金50万円。
 おおむらさんは新潟県長岡市出身。郷里の詩人大関松三郎の詩集「山芋」などに関心があり、高校時代は文芸部に所属、詩作を始めたという。伊東静雄賞では2007年に奨励賞を受け、その後も応募を続けていた。
 受賞作は、古希を迎えた友人には障害のある息子がいて、息子の妻も障害者で、2人が子どもを授かったことを題材にしている。この若い息子夫婦と孫のために年老いても頑張る友人をたたえ、厳しい現実に目を向けながらも希望を託した作品。選者の井川氏は「高齢化社会の困難と、コロナ禍の中でもけなげに生きる人々の今を象徴している」と話す。
 おおむらさんは「静雄賞は選考が厳しくレベルが高い。その厳しさが励みになり、奨励賞後も書き続けてきた」と喜びを語った。
 同連盟が来年4月発行する機関誌「諫早文化」に、受賞作と選評、佳作49編の作者名を掲載。贈呈式は来年3月21日、諫早市のホテルフラッグス諫早で開かれる。

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