平和願い 23日に「音楽会」 故土山さんの言葉 原動力

実行委が各地で開催している音楽会=2019年9月、静岡県熱海市(提供写真)

 長崎市本尾町の浦上天主堂で23日、尺八やギター、オルガンなどの音色や歌を楽しむ「平和を祈る音楽会」が開かれる。全国の医療関係者らでつくる実行委は2014年、元長崎大学長で被爆者の故・土山秀夫さんと出会ったことが活動の支えとなり、平和への願いを奏で続けている。
 新型コロナウイルスの影響で中止も検討したが、被爆75年の節目に被爆地から平和の音楽を届けようと開催を決めた。
 実行委は、がん患者支援活動として各地で音楽会「輪の和コンサート」を開催している。音楽会名には、人と人との輪と平和を大切にという思いが込められている。14年に初めて長崎での開催を企画した。
 音楽会の準備を進めているとき、実行委の堤佐代子さん(64)=愛知県豊明市=はたまたま目にした核廃絶に関する新聞記事で、土山さんを知った。長崎で音楽会を開く前に原爆のことをもっと知りたい、そう土山さんへ手紙を送ると、長崎での面会が実現した。土山さんは戦時中の暮らしや核廃絶への思いなどをじっくりと話し、堤さんたちの活動について「音楽を楽しめるのは平和そのものだね」と目尻を下げたという。堤さんは「同じ日本にいるのに、これまで詳しく知ろうとしていなかった自分が恥ずかしくなった」と当時を振り返り、土山さんの穏やかな表情と言葉が、その後の活動の原動力になっていると明かす。
 音楽会は23日午後1時から3時。長崎の被爆医師、永井隆博士の著書をモチーフにした歌謡曲「長崎の鐘」を歌う企画もある。当日受け付け。入場無料。問い合わせは堤さん(電090.9338.0638)。

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