被爆体験 英語の紙芝居に 梅香崎中3年生

平山さんの被爆体験を英訳した紙芝居を披露する生徒たち=長崎市立梅香崎中

 長崎市大浦町の市立梅香崎中(城山昭雄校長、212人)の3年生69人が被爆者の平和への思いを発信しようと、被爆者の体験を基にした英語の紙芝居を制作した。紙芝居を読み上げる様子をDVDにし、近隣の小学校などに贈る予定。
 紙芝居のモデルは同町在住の平山ヤス子さん(94)。19歳のころ、飽の浦町の三菱重工業長崎造船所で被爆した。コンクリートの建物内にいて無事だったが、新興善国民学校近くの自宅は燃え、長崎医科大生の弟を失った。「むごい世界に変わり果てた光景の記憶は言葉では表現できない」。人前で経験を語ることはなかったが、「あと何年生きられるか分からない。恐ろしい記憶を残しておかなければ」。2年前、同校での講話を引き受け、人前で初めて被爆体験を語った。
 その講話を基に生徒たちは、1年時に日本語で紙芝居を制作。2年時は修学旅行先の京都市で平和について外国人の意見を聞くなどして、平和学習を深めてきた。集大成と位置付けた今年、多くの人へ発信するため紙芝居の英訳に挑戦した。
 9月下旬、平山さんや市内の外国語指導助手(ALT)を招き、英語で紙芝居を披露。生徒たちは平山さんが弟を捜し歩いた時に見た光景や負傷者たちのうめき声、「みなさんが大人になっても絶対に戦争はしないで」という若い世代への願いなどを心を込めて朗読し、グループでの群読や合唱も盛り込んだ。
 平山さんは「素晴らしかった。いろいろな国の方にも聞いてもらえてうれしい」と感想。3年の吉田開耶さん(15)は「戦時中の用語の英訳が難しかった。勉強を重ね、戦争は怖いという気持ちが強くなっていった」と語った。平和をテーマにした意見交換会もあり、カナダ出身のマイケル・マクドナルドさん(30)は「生徒たちと学んだことを家族らに伝えたい」と感想を述べた。

生徒たちが作成した紙芝居

© 株式会社長崎新聞社