純白の花 秋空に映え 対馬で「対州そば」の花 満開

赤いヒガンバナとともに、秋空に映える対州そばの白い花=対馬市豊玉町

 長崎県対馬市内の農村で「対州(たいしゅう)そば」の花が満開を迎え、純白の花がヒガンバナとともに秋空に映えている。
 JA対馬によると、対州そばは縄文時代後期にソバとしては日本に最も早く対馬に伝わったとされる対馬の在来種。原種に近く実は小粒だが、食味・風味に優れている。
 今年の作付面積は例年並みだったが、9月上旬の台風9、10号のため作柄は沿岸部を中心に悪く、全体的には「やや不良」の見込みだという。
 このうち同市中部の中山間地、豊玉町田(た)の農業、波田艶子(はだつやこ)さん(93)所有の約5アールの畑では、8月中旬にまいた種が高さ約70センチほどに成長。蜂やチョウが飛び回り、白いじゅうたんのように咲きそろった対州そばの花から蜜を吸っていた。波田さんは「収穫は11月。大みそかには地鶏だしで味わいたい」とほほ笑んだ。
 同市中部沿岸の峰町青海(おうみ)では8月下旬、地域の段々畑約70アールに住民が種をまいたが、海から吹き寄せた台風の強い風で芽が擦れるなどしてほとんど育たなかった。平山武光区長(59)は「残念だが、来年こそ棚田を花で彩りたい」と話している。

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