コロナと台風で営業停止に 再開目指す「艦これ」コラボ店

壁が壊れた店舗の中を片付ける高道さんと加菜さん=佐世保市日宇町

 人気オンラインゲーム「艦隊これくしょん」(艦これ)とコラボし、ファンの間では名の知れた長崎県佐世保市日宇町の「Sasebo Burger KORON」。新型コロナで客足が減っていたところに、今月初めの台風で店舗が損壊し営業停止を余儀なくされている。「頑張って」。全国のファンから寄せられる声援を背に、店主の山口高道さん(38)は再開を目指している。
 同店は2015年7月にオープン。1コイン(500円)の手軽さとボリューム満点のメニューで人気を集めた。
 18年、同市で艦船を擬人化したキャラクターが登場する「艦これ」とのコラボイベントが開催された際、限定メニューを注文した客に缶バッジなどのグッズを提供し、各地からファンが殺到。寄贈されたフィギュアやポスターなど希少性の高いグッズを展示すると県外から大勢が訪れた。
 今年に入り、新型コロナの感染拡大で客が減少。ようやく客足が戻りかけた矢先、今月2~3日の台風9号に襲われた。店舗の外壁が損壊し店内がむき出しの状態に。約200点の艦これグッズも一部壊れた。新型コロナ対策で既に融資を受けており、これ以上の借り入れも難しい。山口さんと婚約者の加菜さん(26)は途方に暮れた。
 そんな2人を励ましたのがファンの声だった。山口さんの会員制交流サイト(SNS)には千以上の応援コメントが届き、寄付の申し出やグッズの寄贈のほか、「少しでも元気に」と食料品を送ってくれた人もいた。
 一方で、「新型コロナの補助金などがあるはず。寄付までもらっていいのか」といった誹謗(ひぼう)中傷にもさらされた。支援してくれた人たちに、表だって感謝を伝えられないもどかしさも抱えている。それでも「ファンはこの場所に思い入れがある。もう一度ここで営業を再開したい」。こう語る山口さんの表情には、決意がにじんだ。

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