岩松繁俊氏死去 元原水禁議長、長崎大名誉教授

 原水爆禁止日本国民会議(原水禁)議長などを務め、日本の原水禁運動の理論的支柱として活動した長崎大名誉教授、岩松繁俊(いわまつ・しげとし)氏が23日午前8時20分、急性心不全のため、長崎市内の病院で死去した。92歳。長崎市出身。自宅は長崎市三芳町。葬儀・告別式は近親者のみで行う。喪主は次女荒井里佳(あらい・りか)さん。関係者が後日、しのぶ会を開く予定。
 17歳の時、学徒動員先の三菱兵器製作所大橋工場(爆心地から1.3キロ)で被爆。東京商科大(現・一橋大)卒業後、長崎大経済学部で社会思想史、英国の哲学者バートランド・ラッセル氏を研究した。同学部長などを務め、1993年から同大名誉教授。原水禁運動では91年に原水禁副議長、97年に議長に就任。2007年に退任するまで、毎年8月の世界大会や海外の反核・平和団体との交流などで活躍するなど、長年、核廃絶運動をリードした。
 原爆被害を世界に訴えていく上で、日本の加害責任と自己批判の必要性を強調。1990年に天皇の戦争責任発言を巡り、当時長崎市長だった本島等氏=故人=が右翼団体幹部に銃撃された事件の際には、言論の自由を守るための市民運動を展開した。
 岩松氏は約2年前に脳出血で倒れ、病院で療養を続けていた。

© 株式会社長崎新聞社