被爆者らの表情捉えた白黒写真展示 米国の写真家が撮影 ナガサキピースミュージアム

谷口稜曄さんら14人の被爆者の表情を捉えた写真が並ぶ会場=ナガサキピースミュージアム

 世界各地で戦争の被害に遭った人々の写真を撮影している米国の写真家、ポーレ・サヴィアーノ氏が長崎の被爆者らを撮影した写真展が、長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムで始まった。2017年に亡くなった故谷口稜曄(すみてる)さんら14人の被爆者の表情を捉えた白黒写真13点を展示している。10月4日まで。入場無料。
 サヴィアーノ氏は初来日した06年、被爆者の存在を知り、撮影を始めた。米国の水爆実験で静岡のマグロ漁船が被ばくした「第五福竜丸事件」や東京大空襲など、これまで200人以上の被災者と面会。体験を聞き取りながら撮影活動を続けている。これまで広島、長崎の両被爆地や京都、ドイツなどでも写真展を開いている。
 同展では、サヴィアーノ氏が10年から18年にかけて日本国内で撮影した写真を展示。木に囲まれながらたたずむ谷口さんの写真には、忘却が原爆肯定につながることへの危機感を伝える谷口さんのメッセージを添えている。
 同展に写真が展示されている故深堀柱(あきら)さんの妻で、娘と孫の親子3世代で訪れた初子さん(87)は「(夫の写真を見て)涙が出た。懐かしくて、『お父さん』と声を掛けた」と夫との再会をかみしめた。

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