長崎県が健康管理アプリ「N-CHAT」 企業や介護福祉施設などに無償提供 山藤長崎大助教、富士通が共同開発 コロナ集団感染のクルーズ船でも活躍

エヌチャットのスマホの入力画面(県提供)

 長崎県は新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、企業や介護福祉施設などに、従業員や利用者の体調を簡単に把握できる健康管理アプリ「N-CHAT(エヌチャット)」の無償提供を始めた。従業員らにスマートフォンで体温や咳(せき)などの症状の有無を毎日入力してもらい体調を管理。感染者の早期発見を図り、重症化やクラスター(感染者集団)の発生を未然に防ぐ。
 アプリは長崎大熱帯医学研究所の山藤栄一郎助教が富士通と共同開発。長崎港停泊中にクラスターが発生したクルーズ船でも活用され、乗組員の重症化リスクの早期察知に役立った。既に県内の保健所で感染者の濃厚接触者らの健康観察などにも利用されている。
 従業員らが体温や味覚障害など16項目の症状の有無を入力。管理者は一覧表やグラフで全体の傾向を把握できる。県によると、自治体が企業などへ健康管理アプリを提供するのは全国で初めてという。
 無償提供は県内の事業所が対象。25日から県のホームページで受け付けを始めた。介護福祉施設などには県が個別に周知する。県内の高校や大学など教育施設でも9月以降導入を始める予定。県福祉保健課は「クラスターが発生すれば医療への負担が大きく、企業も業務を止めないといけない。感染拡大防止の一つのツールとしてぜひ導入を」と活用を呼び掛けている。

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