ひっそり 厳かに 「念仏踊り」の音響く 五島

オネオンデを披露する小学生=五島市、只狩山展望所

 お盆の入りの13日、長崎県五島市の福江島に、先祖を供養する「念仏踊り」の鉦(かね)や太鼓の音が響き始めた。例年は地域ごとに、呼び名や衣装などが異なるさまざまな踊りが見られるが、今年は新型コロナウイルス対策のため、多くが中止や縮小。一部の地域で15日まで、ひっそりと営まれる。
 富江町では13日、「狩立オネオンデ保存会」(松本俊也会長)が富江支所と只狩山展望所の2カ所で、市無形民俗文化財の踊りを披露。今年は人が集まる墓地での実施は見送った。
 オネオンデは同町狩立、山下両地区で継承され、前会長の稲田孝二さん(72)によると、狩立では踊り手を小学生が務めるのが習わし。江戸時代に始まったとされ、1973(昭和48)年設立の保存会が伝統を受け継いできたという。
 花がさをかぶった小学生6人は、刀や色とりどりの布を腰に着け、肩から掛けた太鼓を鳴らしたり回転したりして厳かに舞った。踊り手を務めるのは今年で最後となった富江小6年、田原璃人(りど)君(11)は「誰にでもできる経験ではないので、多くの人に気持ちが届くように踊った」とやり切った様子だった。
 市によると、県無形民俗文化財に指定されている上大津、下大津両地区の「チャンココ」は中止。14日には玉之浦町で「カケ」が披露される。


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