核禁条約 政府は「扉閉めないで」 長崎で中満国連事務次長

田上市長と会談する中満国連事務次長=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

 平和祈念式典に参列するため来県した国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長は8日、核兵器禁止条約に反対している日本政府について「(条約への)扉を閉めないでほしい」と述べ、国内で同条約への議論が深まることを期待した。
 長崎市内で田上富久市長や佐藤正洋市議会議長らと会談後、報道陣の取材に答えた。
 核禁条約は2017年7月に国連で採択された。批准はこれまでに43の国・地域に達し、発効に必要な50に近づいている。中満氏は他の軍縮関係条約と比べ批准ペースは「遜色がない」とし、「(発効は)今年中か来年か分からないが、締約国は具体的な準備を進める段階だ」との認識を示した。
 米国の「核の傘」にある日本が、核保有国と同じく条約に反対していることには「少なくとも(核廃絶の)目的はしっかり共有しているとメッセージを発信してほしい」と強調し、条約発効後も締約国の議論をフォローするよう求めた。
 本県の高校生平和大使や「ナガサキ・ユース代表団」など若者の平和活動に対しては「すごくいい。その中から、軍縮や安全保障の問題を考える次世代のリーダーが出てくることを期待している」と語った。

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