「平和の尊さ 伝える一人に」 歌手・タナカハルナ(大村出身) 「夏の空に」リリース

「夏の空に」の配信用ジャケット写真

 大村市出身の歌手タナカハルナ(31)が、被爆75年に合わせ、新曲「夏の空に」(DMG)を制作。4日、音楽配信サイトでリリースした。「戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に伝える一人になれたら」と話す。
 「夏の空に」は、原爆で亡くなった人たちを悼み、つらい過去の出来事でも未来に語り継ぐことの大切さを訴える曲。落ち着いた曲調だが、「悲しみの涙は やがて乾いていく 時の歩みの中で 忘れてしまう」と、被爆の記憶が風化していくことへの懸念を、澄んだ歌声でストレートに伝える。
 制作のきっかけについて「ケーブルテレビの番組で原爆をテーマにしたコーナーに出演し、その中で紹介した被爆者の日記を改めて読み返すうちに心にぐさっと何かが刺さるような思いにとらわれた。その気持ちを曲にして伝えることが大切だと気付いた」と話す。
 2月から曲作りに取り組み、完成までにいろんな考えが浮かんだという。「軽はずみな思いで作ってはいけないが、暗く重苦しい曲調にすると若い人にとって受け入れにくい気がした。次世代に歌い継いでもらえる曲にしたかった」
 タナカは学生時代にソニーのオーディションでグランプリに輝き、2009年から本格的に音楽活動をスタート。13年に大島ミチル作曲の「あかね雲」でメジャーデビューを果たした。
 「コロナ禍で人前でのライブ活動は難しくなっているが、ネットを通じてこの曲を発信し、たくさんの人に聴いてもらいたい」と話す。
 「夏の空に」は204円。レコチョク、アップルミュージックなど複数の音楽配信サイトで聞くことができる。

 


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