ながさき8.9平和展 国内外から180点並ぶ 継承テーマにした作品も

松尾さん(左)に、自分の作品について説明する濵口さん=長崎市、県美術館

 戦争、原爆、平和をテーマにした美術展「第41回ながさき8.9平和展」(同企画委員会主催)が6日、長崎市出島町の県美術館で始まった。さまざまな表現技法で制作された絵画、写真、立体、児童画など国内外から集まった計約180点が並ぶ。9日まで。
 同展は、長崎原爆が投下された8月9日を原点とする美術界の平和運動として1980年に始まり、毎年開催。応募全作を無審査で展示するアンデパンダン形式をとっている。
 会場には、被爆者やハトをモチーフにした絵画や前衛的な立体作品などのほか、幼稚園児が描いた平和祈念像の絵も。同展の企画者で、4月に79歳で死去した被爆者、畑敏光さんの風景画など3点も並ぶ。
 長崎市の看護師、濵口龍さん(36)は、両親や2歳の息子らと共に絵画を出品した。キリスト教信者でもある濵口さんの作品は、江戸期に殉教した長崎出身のキリシタンで、日本女性初の聖人の一人「長崎のマグダレナ」をアクリルで描いた6号の作品。現在、妻が妊娠中で、これから生まれてくる子どものために描いたという。濵口さんは「戦争や原爆のことを後世に伝えていくのと同様に、信仰を子どもに伝えていくことも私の使命。平和の思いも込めて継承をテーマに描いた」と語った。
 企画委員会事務局の松尾英夫さん(79)は「世の中が平和であってほしいという出品者の願いが表現された作品を、多くの人に見てもらいたい。そして、その願いを共有してほしい」と話している。
 入場無料。9日午前10時半から会場で同市の美術家、内藤修子さんらによるパフォーマンスがある。同日午後3時から1時間、平和ミニコンサートも予定している。

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