「感染者の早期発見重要」 大学に診療所開設 長崎国際大・安東学長インタビュー

「地域医療に貢献したい」と語る安東学長=佐世保市、長崎国際大

 長崎国際大(佐世保市)は、新型コロナウイルスの感染の有無を調べる検査センターの運用を7月1日から始めた。今月3日には学内に診療所を開設するなど、コロナ禍で先駆的な取り組みを続けている。その先頭に立つのが安東由喜雄学長(67)だ。

 -検査センターを大学に設置した理由は。
 学生や教職員、近隣の住民を守るためだ。5月下旬から6月上旬にかけ、佐世保市内69人を対象に(感染歴の有無を調べる)抗体検査を独自に行った結果、全員が陰性で抗体を持っていなかった。つまり、第2波で感染拡大が深刻化する可能性がある。重要なのは感染者を早期発見、隔離し、治療することだ。感染が疑われる人が、すぐに検査できない状況では困ると思った。

 -運用を始めて約1カ月がたった。
 蛍光LAMP法を用いた検査機器を2台導入し、これまでに100人以上を有料で検査した。本学の薬学部や健康栄養学科、社会福祉学科の学生は実習に行く前に検査を行い、感染していないことを証明してから送り出している。企業からの問い合わせも多く、出張に行く前や帰ってきた後に利用していただいている。県内でも感染者が増加しており、今後も需要は高まっていくだろう。

 -今月3日、学内に診療所を開設した。
 私を含め、本学の4人の医師が診察を行う。学生や教職員、近隣住民など誰でも利用でき、コロナウイルスの抗体検査も実施予定だ。現役の医師として、地域医療に貢献したいという思いがある。そういう思いを持って各分野の人たちが積極的に行動すれば、感染拡大は抑えられるのではないか。

 -大学での感染対策は。
 6月1日から実習や一部講義で対面授業を再開した。学生には登校前の検温やマスク着用を求め、教室では30分ごとに換気を行っている。また、全ての学生と教職員を対象に、ウェブ上で毎日体調を報告するシステムを導入。▽平熱より1度以上高い熱がある▽歯磨き粉や朝食の味を感じない▽食欲がない、吐き気、下痢-など、私が考えた9項目のうち、一つでも該当する場合は学校を休むよう指示している。検査センターと診療所もフル活用し、健康チェックをしていく。

 -県内の学校でクラスター(感染者集団)が発生した。教育機関に求められることは。
 クラスターの発生を防ぐためには、感染者を迅速に発見することが大切だ。児童生徒の体調を毎日しっかりと確認し、気になる場合には検査や自宅待機を勧めてほしい。本学の検査センターも積極的に活用してほしい。

 【略歴】あんどう・ゆきお 1953年、大分県別府市出身。熊本大大学院医学研究科修了。熊本大医学部長、同大大学院生命科学研究部長などを歴任。昨年、長崎国際大に赴任し、今年4月から現職。専門は検査医学、脳神経内科学、アミロイドーシス学。

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