思いは同じ 平和の願い絵画に 「戦争という言葉 なくなりますように」

千羽鶴を折る生徒たち=長崎商業高

 被爆地長崎、広島の商業高校の生徒たちが被爆75年の節目に合わせ、平和への思いを込めた絵を共同で制作した。両校の生徒は話し合い、絵の中心にこんなメッセージを添えた。「戦争という言葉がなくなりますように」「世界中で青い空が続きますように」-。

 「被爆地の市立の商業高校」である長崎商業高と広島商業高は、2009年に姉妹校となった。平和交流活動として、広島原爆の日(8月6日)と長崎原爆の日(同9日)に毎年、互いの学校の慰霊祭に生徒代表を派遣している。だが、今年は新型コロナウイルスの影響で派遣は中止に。こうした中でも平和を発信し続けようと、初めて絵を共同制作することにした。
 長崎商では全校生徒707人が平和のメッセージを考え、一人一人が祈りを込めて折り鶴を作った。その後、両校の生徒会がオンライン上でデザインやメッセージについて意見交換。長崎の平和祈念像、広島の原爆ドーム、制服を着た両校の生徒が笑顔で手をつなぐ姿などを描く案に決まった。
 絵の大きさは縦約110センチ、横約80センチで広島商側が制作した。完成品は6日の同校の慰霊祭会場で披露し、9日の長崎商の慰霊祭では写真をカラーコピーしたものを掲示する。全校生徒の折り鶴で作った千羽鶴も両校で贈り合う。
 両校は毎年の慰霊祭で、「ヒロシマ・ナガサキから核兵器廃絶の声を世界に向けて発信していく」と共同の平和宣言も読み上げている。前文を考えるのは、生徒会長の役目。長崎商の生徒会長、春田優香さん(18)は、「原爆は『人の手』によって作られ、『人の上』に落とされたものだからこそ、『人の意思』によって無くすことができる」と訴え、「その意思が生まれる場所は私たち一人一人の心の中です」との言葉を選んだ。
 新型コロナの影響で例年とは違う平和交流となった今年。春田さんは「絵画の制作を通じ、全校生徒が平和について考えることができ、より強いメッセージとして発信することができるはず」と話した。
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 一方、「被爆地の県立の工業高校」という共通点を持つ長崎工業高と広島工業高は、初めて平和活動の交流を企画。7月31日、両校の生徒会がオンラインを通じ、これまでの平和学習などについて意見交換した。
 長崎工の生徒会は今年の平和宣言も紹介。宣言では「多くの人に平和への思いを共有するためには、一方的に発信するのではなく、お互いに話をし、理解し合うことが大切」と呼び掛けている。

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