ペリー元米国防長官訴え 「世界の良心として核廃絶の声上げて」 長崎で国際平和シンポジウム 「先制不使用」宣言も要望

オンラインで参加し、核軍縮について語るペリー氏(壇上右から2人目)=長崎市、長崎原爆資料館

 長崎市などが主催する国際平和シンポジウムが1日、市内であり、クリントン米政権で国防長官を務めたウィリアム・ペリー氏が被爆地の市民に向け「世界の良心として、核廃絶の声を上げ続けてほしい」と呼び掛けた。核戦争を防ぐため、核保有国は先に核攻撃をしない「核の先制不使用」を宣言し合い、米国の「核の傘」にある日本も推進すべきだと訴えた。
 オンラインでシンポジウムに参加したペリー氏は、米ロ関係の悪化などで現在は「第二の冷戦時代と呼べる」と述べた。来年2月に期限切れとなる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の延長と、交渉の過程に中国を巻き込み幅広く核軍縮を進めることが必要とした。
 米国では大統領だけが核兵器発射の権限を持ち、警報システムの誤作動や政治的な誤算も「核戦争につながる恐れがある」と指摘。オバマ政権が核の先制不使用を検討した際、抑止力の弱体化を懸念し反対した日本の姿勢も課題に挙げた。
 シンポは核廃絶への道を探る目的で開き、ペリー氏の他、北朝鮮問題に詳しい薮中三十二(みとじ)・元外務事務次官ら3人がパネリストを務めた。会場には約90人が参加、オンラインでも配信した。
 冒頭、ゴルバチョフ元ソ連大統領のビデオメッセージが流され、1985年、冷戦下の軍拡競争に歯止めをかけるためレーガン米大統領と共同で出した「核戦争に勝者はいない。決してあってはならない」という声明を思い起こすよう求めた。

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