森岳酒蔵でアンテナ店 築100年超の建物  「交流の場に」

常設アンテナショプ「森岳酒蔵~Luna Base~」をオープンした森さん=島原市、森岳酒蔵

 歴史が息づく島原の遺産を生かし、町のにぎわいを取り戻そうと、6年間勤めた航空自衛隊を退官し帰郷した森美月さん(25)が1日、国の登録有形文化財(文化財名・宮崎商店焼酎蔵)にもなっている島原市上の町の「森岳酒蔵」に、地元の森岳商店街のアンテナショップ「森岳酒蔵~Luna Base~」をオープンした。「地域の人や観光客が気軽に訪れ、くつろいだり話をしたりする交流の場にしたい」と意気込む。
 島原城近くの森岳酒蔵は1906(明治39)年に建造。以前は同商店街が常設の休憩所、観光案内所を置いていたが資金不足などで閉鎖。その後は年に数回、イベントなどで活用している。
 高校在学中から島原の観光振興に携わりたいとの思いがあった森さんは昨年3月、自衛官を退官。「島原で町おこしに貢献するためには、見聞を広げる必要がある」と思い、非政府組織(NGO)「ピースボート」の世界一周クルーズに参加し、20カ国以上を巡った。国連の持続可能な開発目標(SDGs)に照らした先進地の取り組みに触れるなど「船旅での出会いで多くの人生経験を学べた」と振り返る。
 今年6月、同商店街会長らに「島原の良さを子どもたちに伝え、年代に関係なく集える場を開きたい」と直談判。商店街の協力を取り付け開店にこぎ着けた。
 明治生まれの建物の雰囲気を生かした店内には、同酒蔵に残っていた酒だるを再利用したテーブル(直径約2メートル)2台なども据えた。同商店街を中心とする約10店舗のそうめんや麺つゆ、甘酒やしょうゆなどの商品約20種類を販売。かき氷やラムネ、駄菓子なども取り扱うほか、弓道体験もできる。
 営業時間は平日午後2時~6時、土日祝日午前10時~午後5時。火曜定休のほか不定休もある。

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