被爆の実相SNSで発信 ICAN、長崎原爆資料館から

展示物を英語で紹介する山口さん(右)=長崎原爆資料館(代表撮影)

 新型コロナウイルス感染拡大で海外から被爆地訪問が難しくなっていることを受け、非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)は24日、世界の人々に被爆の実相や現代の核情勢を学んでもらおうと、長崎原爆資料館(長崎市平野町)の展示物を英語で紹介するオンラインツアーを実施した。
 会員制交流サイト(SNS)インスタグラムのライブ配信機能を利用し、主に世界の若者に関心を持ってもらう狙い。5月中旬に発案。同館が撮影時間など全面協力し、実現した。
 ガイド役は被爆証言の掘り起こしと記録に取り組む「長崎の証言の会」の山口響さん(44)が務めた。
 配信は資料館が開館する前の午前8時から約30分間実施。爆心地から約700メートルの岩川町で被爆した堤郷子さん(当時14歳)の遺品で炭化したコメが付着した弁当箱や、早期発効が求められている核兵器禁止条約、世界にある核弾頭数などを解説した。
 国内外の151人が視聴し、案内中に「若い世代に何ができるか」などの質問や感想も寄せられた。
 ICANは22日に、広島市の原爆資料館でも同様のツアーを実施しており、川崎哲国際運営委員は「反響も非常に大きかった。世界の世論を変えることに貢献できる取り組みだ」と話した。動画は今後、ICANのホームページに掲載する予定。

© 株式会社長崎新聞社