原爆朗読劇「夏の雲は忘れない」 出演者に楠山さん、松尾君

「夏の雲は忘れない」に出演が決まった楠山さん(左)と松尾君=長崎原爆資料館

 原爆朗読劇「夏の雲は忘れない」が8月30日、長崎市平野町の長崎原爆資料館で上演される。同資料館で今月12日、朗読劇に出演する児童2人を決めるオーディションがあり、市立深堀小6年の楠山更紗(さらさ)さん(12)と、市立高城台小5年の松尾豪真(かつま)君(10)が選ばれた。
 朗読劇は公益財団法人長崎平和推進協会の「被爆75周年記念事業」の一環。昨年末に解散した朗読団体「夏の会」のメンバーだった女優、渡辺美佐子さんや高田敏江さんらが出演する。夏の会は広島、長崎の被爆者の手記を基にした朗読劇を全国で上演してきた。今回は特別編として長崎原爆の手記を多く取り上げた。
 オーディションには7人が参加し、同協会関係者ら3人が審査。選ばれた2人は、被爆当時5歳だった子どもの手記などを朗読する。楠山さんは「被爆地に住む者として、被爆者の思いを朗読で伝えたい」、松尾君は「責任重大で緊張するが、本番に来てくれる人に、戦争や原爆の恐ろしさを訴えたい」とそれぞれ意気込みを語った。ほか5人も劇終盤に登場する。
 出演者で子どもたちへの朗読指導も担う女優の池田舞さん、構成・演出担当の城田美樹さんは13日、市役所に田上富久市長を訪ね、朗読劇への思いを伝えた。池田さんは「若い世代にぜひ見てほしい。平和って何だろうと考えるきっかけになれば」、城田さんは「今当たり前に生きていることが何とありがたいか。みんなで分かち合える時間にしたい」とそれぞれ語った。
 朗読劇は午後1時から。入場無料だが、8月14日までに同協会へ往復はがきで申し込みが必要。応募多数の場合は抽選。問い合わせは同協会(電095.844.9922)。

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