石木ダム 工事費執行停止を 議員連盟などが抗議文

抗議文を手渡す坂本県議(右)=県庁

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、土地、建物の強制収用に反対する超党派の議員連盟と市民団体「石木ダム・強制収用を許さない県民ネットワーク」が8日、県の本年度当初予算に計上されたダム本体工事費約8億円の執行停止を求める抗議文を、中村法道知事宛てに連名で提出した。
 抗議文は▽強制収用で重大な人権侵害が引き起こされている▽予備調査から半世紀が過ぎた計画は豪雨災害が激甚化する時勢に合っておらず、治水効果の再検証が必要-などと指摘。事業見直しを求めており、月末までに文書での回答を求めている。15日に佐世保市にも提出する予定。
 議員連盟の共同代表でダム建設予定地に住む炭谷猛川棚町議や、坂本浩県議ら10人が県庁で県土木部の天野俊男次長に抗議文を手渡した。炭谷町議は今月の熊本の豪雨災害に触れ、想定以上の雨量に対するダムの安全性に疑問を呈し「地球規模の気候変動への対応はここ2、3年で言われてきたこと。石木ダムも考え直し、方向を変える時期」と強調した。
 県側はダムだけではなく、河川改修や避難計画などを組み合わせて治水対策を進めていると説明。天野次長は「気候変動が大きくなっているからこそダムが必要。理解を得ながら適切に執行していきたい」と述べた。
 8日は、県外中心の111人でつくる「石木ダム建設に反対するみんなの会」が建設中止を求める申し入れも行った。


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