近現代の炭鉱史まとめた本出版 崎戸町出身の編集者中西さん 「歴史見つめ直すきっかけに」

崎戸町などの炭鉱史をまとめた本を紹介する中西さん=佐世保市、長崎新聞社佐世保支社

 西海市崎戸町出身の編集者、中西徹さん(71)=大阪市在住=が、近現代の炭鉱史をまとめた「一に高島、二に端島、三で崎戸の鬼ケ島」を浮游社から出版した。
 中西さんは、父が崎戸炭鉱の付属病院で働き、炭鉱を身近に感じながら育った。1968年の閉山後、関西へ移り、出版業界で勤務。閉山から50年を迎えるに当たり、炭鉱で盛衰した古里や、過酷な労働を強いられた人々の記録を残そうと書籍の編集を始めた。
 2018年には、父が撮りためた往時の写真などを収録した「うち、おい達の『崎戸』という時代」を出版。今作品は第2弾で、崎戸のほか、周辺炭鉱の史料などを掲載。崎戸町ゆかりの作家、故井上光晴氏らの著作も載せている。
 中西さんと交流がある国立歴史民俗博物館(千葉県)名誉教授の安田常雄さん(74)は「その土地で生きた民衆の視点を大事にした貴重な文献」と評価。中西さんは「労働者の強制連行など、負の部分にも光を当てた。歴史を見つめ直すきっかけにしてほしい」と話している。
 A5判、254ページ。1部2200円。問い合わせは浮游社(電06.4303.5237)。

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