63年の歴史に幕「県下小中学生そろばん大会」 指導者減少など要因

昨年11月の第63回大会でそろばんをはじく児童、生徒=長崎市栄町、長崎女子商業高

 そろばんの普及を目的に、長崎市の長崎女子商業高が毎年秋に同校などで開催してきた「県下小中学生そろばん大会」が今年以降開催されないことになった。大会運営を支えてきた同校の珠算指導者の減少などが要因だという。
 大会は1956年、「小学生そろばん大会」としてスタートし、初回は318人が参加。その後、そろばんブームで参加者が700人を超えたため、第7回大会から女子児童だけに限定。第16回からは中学女子も参加できるようにした。
 64年に同校の校舎改築のために中止した以外は毎年11月3日の「文化の日」に実施し、これまでに1万5千人超が参加。昨年の第63回大会を最後に歴史に幕を閉じることになった。
 同校の珠算担当教員として40年以上、大会に携わってきた非常勤講師、朝隈文智さん(65)は「読上算や読上暗算は、読み手が問題を独特のリズムで、スピーディーに読まなければならない。そんな技能を持った教員が高齢化し、人数も減ってしまい、大会運営が困難になった」と語る。
 朝隈さんは「そろばんを通して集中力が養え、身に付けた暗算力は社会で役に立つ」とし、「県内各地のそろばん塾で小学校低学年から腕を磨いている子どもがいる中で、大会がなくなるのは残念」と話した。

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