長崎県内に大雨特別警報 大村で1時間雨量94.5ミリ 河川氾濫 2000人避難

与崎交差点付近の冠水で取り残された車=6日午後6時17分、大村市久原2丁目

 対馬海峡に停滞する梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で大気の状態が不安定となり、長崎県内は6日、各地で非常に激しい雨が降った。気象庁は同日、県南・県北の4市3町に警戒レベル5相当の大雨特別警報を今年初めて発表。大村では観測地点の史上最大となる1時間降水量94.5ミリを記録した。
 特別警報の対象は▽長崎市▽諫早市▽大村市▽西海市▽西彼長与町▽西彼時津町▽東彼東彼杵町。県内での特別警報発表は昨年8月28日以来、4度目。
 大村市の5河川が氾濫・越水し、県内唯一の1級河川である諫早市の本明川は氾濫危険水位を超した。
 気象庁はレーダー解析の結果、6日午後9時現在、大村市付近の同日午後3時20分ごろまでの1時間と東彼杵町付近の同日午後3時半までの1時間にそれぞれ約110ミリの猛烈な雨が降ったとみられる「記録的短時間大雨情報」を発表。発達した雨雲が連なり局地的豪雨をもたらす「線状降水帯」が形成された可能性があるとしている。
 長崎地方気象台によると、大村では6日午後3時17分までの1時間降水量94.5ミリを観測し、同地点で観測が始まった1976年以降で最大を更新した。
 県災害対策本部によると6日午後7時現在で、長崎市の一部、大村市、江島・平島を除く西海市、東彼杵町に避難指示が出され、佐世保市(宇久地域を除く)や諫早市など2市2町に避難勧告を発令。避難準備情報を含め県内計約56万世帯が避難対象となる中、207カ所に1026世帯1977人が避難した。人的被害は確認されていない。
 空の便では長崎空港発着便でオリエンタルエアブリッジ(ORC)が全便欠航。JRでは午前10時以降の博多-長崎の特急「かもめ」が全便運休するなど交通にも乱れが出た。
 県は同日夕、災害対策本部会議を開き状況を確認。中村法道知事は「河川の水位の上昇や、崖崩れが起きている地域もある。県民には、まず命を守る行動をとってほしい」と呼び掛けた。
 同気象台は、7日午後6時までの24時間雨量は県南部300ミリ、県北部と五島250ミリと予想している。

 


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