世界遺産・春日集落のご神体「オマブリ」初公開

初公開されたご神体「オマブリ」

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録2周年を記念し、長崎県平戸市は4日、構成資産の一つ、春日集落(春日町)の案内所「かたりな」で、集落のご神体「オマブリ」の初公開を始めた。8月10日まで。

 同市によると、「オマブリ」は「お守り」を意味する方言とされる。同市が2017年、国際記念物遺跡会議(イコモス)の調査を受ける準備を行った際、神棚にまつられた納戸神を収めた箱に入っていたのを所有者と一緒に確認。十字の形をした和紙で、魔よけとして家の柱や出入り口に置き、葬儀では死者に持たせたと考えられるという。
 同日、案内所「かたりな」で始まった特別展「引き継がれてきたご神体」で展示。所有者の美吉英次さん(59)は「オマブリから先祖が大切にしていた信仰の重みを感じた。春日集落で受け継がれた信仰を知ってほしい」と話している。
 「かたりな」は、観光客の受け入れ拠点として18年2月にオープン。19年の入館者は約2万800人で前年比約3800人増加した。展示室、物販・案内コーナーと地元住民が集落について観光客と語らう部屋を併設。現在、新型コロナウイルス感染症の影響から、観光客との語らいなどは、簡素化し対応している。

初公開のご神体「オマブリ」が展示されている春日集落案内所「かたりな」=平戸市春日町

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