軍艦島「30号棟」崩落拡大 大雨など原因か

写真上は3月下旬時点の「30号棟」。南側(向かって右)の7階と6階の一部が崩壊している。写真下は7月3日時点。南側の崩落の拡大に加え、西側(向かって左)にも新たに崩落が確認された=長崎市、端島

 世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産に含まれる長崎市の「端島炭坑」(軍艦島)で、3月に一部崩落が確認されていた国内最古の鉄筋コンクリート造アパート「30号棟」の崩落箇所が拡大していることが3日、分かった。
 30号棟は1916年建設の7階建て。当時、島の住民ら約400人が暮らしていたという。市世界遺産室によると、6月24日までに、新たに南側の4階から7階部分の床や外壁などの一部と、西側の6、7階部分の壁や梁(はり)などの崩落を確認した。原因は、同13日の大雨などとみられる。
 市は、劣化が激しく、工事の際の危険性が高いとして「30号棟の保存は難しい」と補修の対象にしていないが、7月中に30号棟の調査は行う予定としている。
 軍艦島には3日、元島民らが上陸し、崩れゆくアパートを見つめ、悲痛な声を上げた。生後間もなくから5年間このアパートで暮らした木下稔さん(66)は「ショックだ。30号棟はいずれ崩れてしまうのか」。60年ぶりに故郷に足を踏み入れた高崎邦穂さん(84)は「生まれ育った島が崩れていく。せめて一部でいいから保存を検討してほしい」と話した。


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