「諫早の近代出来事・索引」 市民グループが作成 世相や自然災害など色濃く

「諫早の近代から現在までがひと目で分かる出来事事典」と話す鈴木代表=諫早市内

 明治以降の諫早市の出来事の年表と索引を収めた「諫早の近代出来事・索引」が完成した。市民グループ「諫早の近代出来事・索引作成研究会」(鈴木勇次代表、16人)が昨年7月から着手。同市特有の世相や市民生活、自然災害の爪痕などが色濃く映し出されている。
 鈴木代表(76)が市美術・歴史館長時代、諫早の事象を題材にした講座を開いていた頃、全体を網羅した資料が少なく、出典が不明な資料が多いことに気付いた。今回、出典を明確にし、市の歩みがひと目で分かる年表作成に入った。
 年表の対象期間は1868(慶応4・明治元)年から2019(平成31)年までの151年分。諫早市と合併旧5町(高来、小長井、森山、飯盛、多良見)の郷土誌や諫早商工会議所などの記念誌計21冊から主な出来事を抽出した。
 いさはやコンピュータ・カレッジの学生らの協力を得て、年表は年月日と出来事、出典資料名と掲載ページを一覧にした。学校や鉄道、電話などが整備された明治、大正に始まり、戦争の影響が生活に及んだ昭和10~20年代を経て、2回の長崎国体や国営諫早湾干拓事業など“全国区”のニュースの変遷も分かる。
 索引は、人名などのキーワードが年表に登場する西暦年と出典資料をまとめ、年表上の出来事をスムーズに探すことができる仕組み。諫早市と合併旧5町の歴代首長名、市内小学校(幼稚園を含む)と高校、金融機関の変遷図も収録した。
 鈴木代表は「『のんのこ節』『のんのこ踊り』『のんのこ祭り』のように、知っているようで分からない、違いを説明する資料がほとんどない」と指摘。一方、市の歴史を記した諫早市史は1955年の刊行から65年が経過しているため、鈴木代表は「今後も検証や加筆を続け、この年表が新しい諫早市史の基礎資料になったらうれしい」と期待を込めた。
 A4判、336ページ。非売品。市民の発想をまちづくりに生かす昨年度の市ビタミンプロジェクトの採択事業の一つ。

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