「過去最低」県内景況感 4~6月期 長崎経済研

県内企業の業況判断BSI推移

 十八銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)が実施した県内企業景況調査(速報)によると、全産業の業況判断指数(BSI)は4~6月期がマイナス64で1989年の調査開始以来最も低い水準となった。新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言下、外出の自粛や店舗の休業などで景況感が急激に悪化した。
 これまでは98年4~6月期のマイナス48が最低。その前年に消費税率が5%に引き上げられ、アジア通貨危機、大手金融機関の経営破綻や廃業があった。今回は2008年のリーマン・ショック時より落差が大きい。
 BSIは前年同期と比べて業況が「好転」と答えた企業の割合から「悪化」と答えた企業の割合を引いた数値。4月30日から県内主要389社にアンケートし、5月14日までに199社(製造業48、非製造業151)が回答した。回答率51.2%。
 1~3月期は前回調査時にマイナス24を見込んでいたが、実績はマイナス37と大幅に下回った。足元の4~6月期は前回調査時のマイナス19という予想から、マイナス64に激しく落ち込んだ。
 7~9月期はマイナス66とさらに厳しい見通し。本県は5月14日で緊急事態宣言が解除されたが、同研究所は「県外観光客数のV字回復が早期に見込める状況にはない」との見方を示している。
 4~6月期を業種別で見ると、製造業はマイナス58。感染拡大により一般機械は営業活動が十分にできないほか、受注工事の中断や延期、中国などからの部品調達の遅延で生産調整を実施。食料品は国内観光客の急減が土産品の売り上げを直撃した。
 非製造業はマイナス67。このうち運輸業は外出自粛要請で人の動きが急速に減退し、建設業は中国などからの資材調達が滞った。卸売業はイベントの中止などで消費が落ち込んだ。小売業は休業や時短営業を要請された。サービス業は旅行客の予約キャンセルが相次いだ。

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