「夏季水泳教室」初の中止 3密回避困難 長崎市

昨年の水泳教室で、大名行列を披露する子どもたち=長崎市民総合プール

 長崎市は25日、毎年夏休みに市内小中学生を対象に市民総合プール(松山町)で開いている「夏季水泳教室」について、今年は中止すると発表した。例年約2千人以上が参加する人気の教室で、終盤には子どもたちが立ち泳ぎによる「大名行列」を披露することでも知られるが、新型コロナウイルス感染防止のため、「3密」(密閉、密集、密接)を回避するのは困難と判断した。1973年の教室開始以来、中止は初めて。
 NPO法人長崎游泳協会(田中直英理事長)が当初の73年から、市の委託を受け子どもたちの指導などに当たっている。水の事故防止や体力づくりなどが目的で、昨年は約2300人が2班に分かれ、それぞれ計14、15回の講習を受けた。
 例年、終盤には江戸時代に立ち泳ぎで川を渡った肥後細川藩の参勤交代行列を再現した「大名行列」を披露し、夏の風物詩にもなっている。中止決定に田中理事長は「楽しみにしていた参加者を思うと、残念でならない」と語った。
 同協会の前身の瓊浦游泳協会が1902(明治35)年に小瀬戸町の皇后島(通称・ねずみ島)で子どもを対象に「水泳道場」を始め、72年のねずみ島閉鎖まで続けた。夏季水泳教室は、この流れをくんでいるといわれている。


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