「命救って」対馬市に寄付 救急車購入費と簡易担架

対馬市に簡易担架「レスキューボード」20セットを寄贈した神宮さん=対馬市役所

 災害時などに一人でも多くの命を救ってほしいと、対馬市内外の2人がこのほど、市に簡易担架「レスキューボード」20セットと、高規格救急車購入費の一部300万円を寄付した。寄贈式で比田勝尚喜市長が2人に感謝状を贈った。
 レスキューボードを寄付したのは、同市美津島町鴨居瀬の会社員、神宮美香(しんぐよしか)さん(45)。小学2年で父を急性心不全で亡くしたことから2003年、応急手当普及員の資格を取得。06年に市消防団に入団、防災士などの資格も取得して地域防災に貢献している。
 レスキューボードは特殊繊維製(幅73センチ、長さ180センチ)で、重さは約3.5キロと軽量の一方、最大500キロの荷重にも耐えられるという。神宮さんは昨秋、テレビでレスキューボードの存在を知り、市に寄贈することを思い立った。
 寄贈式で、神宮さんは「災害対策でご活用していただきたい」と述べ、比田勝市長に使い方を説明。市は避難所などに配置する。
 高規格救急車購入費を寄付したのは、同市厳原町佐須瀬出身で福岡市城南区の不動産会社経営、山田大助さん(71)。がんで闘病中だった妻むつ子さん(昨年9月に67歳で死去)と同3月、対馬市消防本部を訪ねて「対馬に恩返ししたい」と寄付を打診した。
 山田さんはこのほど、むつ子さんの遺影とともに同本部を訪れて目録を寄贈した。「妻に相談したら『お父さん、いいことね』と言ってくれた。一緒に渡すことができてよかった」と涙ぐみながら話した。

対馬市に高規格救急車の購入費の一部として300万円を寄付した山田さん(中央)。遺影は、妻のむつ子さん=対馬市消防本部

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