「震洋」特攻隊員しのぶ 川棚で慰霊祭

碑の前に花を手向け、手を合わせる参列者=川棚町新谷郷

 第2次世界大戦で戦死した旧日本海軍の特攻艇「震洋」隊員の慰霊祭が10日、長崎県東彼川棚町新谷郷の「特攻殉国の碑」前であり、地元住民らが英霊をしのんだ。
 震洋は海軍唯一の水上特攻艇。全長5メートル程度のベニヤ板製の船に爆薬を積み、体当たりで敵艦を攻撃した。大戦末期に同郷に震洋の訓練所が設置されたことから、戦後の1967年に慰霊碑を建立。3511人を祭っている。
 郷主催で毎年この時期に慰霊祭を開くが、今年は新型コロナウイルス感染予防のため、式典は省略し、地域住民だけで行った。
 時折雨が降る中、参列者は1人ずつ慰霊碑前に花を手向け、手を合わせた。郷総代の寺井理治さん(73)は「元隊員や遺族も年々少なくなっている。規模縮小も視野に入れながら、次の世代に託せる形を考えていきたい」と話した。

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