長崎クルーズ船 感染計148人 今後2割が入院の可能性も

乗組員の検査が終わり、148人の感染が確認されたクルーズ船コスタ・アトランチカ=長崎市香焼町、三菱重工業長崎造船所香焼工場

 長崎県は25日、長崎市香焼町の三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊しているクルーズ船「コスタ・アトランチカ」(イタリア船籍・8万6千トン)の船内で、新たに57人の感染を確認したと発表した。これで乗組員623人全員の検査を終え、陽性は計148人となった。うち1人は重症化して同市内の指定医療機関に入院。残り147人は無症状か軽症という。県は検査結果などを国の専門家らに分析してもらい、感染経路や市民への感染リスクを早急に明らかにする方針。
 また本県入りしている厚生労働省クラスター対策班の鈴木基(もとい)氏は同日、長崎市のホームページで「これまでの調査で3月末ごろに船内で感染が発生し、比較的短期間で感染が広がったと推測される」との見解を示した。
 県庁で記者会見した中田勝己福祉保健部長は「今後、感染者のうち最大で2割ほどが中等症や重症といった入院が必要になる可能性がある。県内(の医療機関)で対応が困難になるようであれば国と連携しながら(県外など)広域的な対応を考えたい」と述べた。
 25日時点で1人が38度台の発熱があったが、呼吸状態は良好のため船内で当面療養する。中村法道知事は同日、乗組員の診察や健康管理のため改めて陸上自衛隊に災害派遣を要請。陸自の医官ら4人が26日から約2週間、現地で対応に当たる。
 中田部長は、同船を所有するコスタクルーズ社(イタリア)と三菱重工が乗組員の乗下船のデータを精査しており、近く明らかにするとの認識も示した。また国立感染症研究所の医師ら3人が船内を調査した状況を報告。乗組員はそれぞれ個室に隔離されているが、陽性と陰性の部屋はエリアで区分されておらず混在。食事の廃棄物もたまってきており、その処理などが課題という。

 


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