長崎県民意識“まだら模様” 急激に人影消える地域も

下船者が4人だった博多発のジェットフォイル=対馬市厳原町、厳原港

 緊急事態宣言が全国に拡大してから1週間が過ぎた。長崎市中心部の人出に大きな変化が見られない一方、急激に人影が消えている地域もある。「神経質になりすぎても」「心配でおかしくなる」。県民の意識は、いまだに“まだら模様”のようだ。
 「ガーゼマスク入荷しました」。23日午後1時すぎ、長崎市浜町のアーケード内のディスカウント店。店先の店員の呼び込みにつられ、次々に人が集まっていく。「あれって『3密』じゃないの」。人だかりを心配そうに見詰める姿もあった。
 アーケード内の複数の店舗に尋ねると「人通りが減った感じはない」。ただ、20日に三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊中のクルーズ船内から感染者が出たことを受け「来店者ががくっと減った」との声もある。長崎浜市観光通商店街振興組合の田川清浩理事長は「本気で人出を減らすには県が休業要請を出すしかないのではないか」と話す。
 県内初の新型コロナ感染による死者が確認された佐世保市。病院に向かっていた女性(82)は「感染が心配でおかしくなりそう。外に出るのが怖い」と不安を隠さなかった。常盤町で飲食店を経営する50代男性は、緊急事態宣言拡大後に公務員や米軍関係などの客足が絶えたと実情を明かし「新メニューを開発するなど前向きに取り組んでいる。日々頑張るしかない」と自らに言い聞かせた。
 離島では急激に人影が消えている。福岡-対馬間のジェットフォイル(定員257人)は20日から原則1日1往復に減便。23日に厳原港で下船したのは4人だけだった。11~20日の10日間の搭乗率は前年比で7割以上減っており、港近くでハンバーガー店を営む新庄清孝さん(35)は「アルバイト5人の雇用を守るため、テークアウトやデリバリーに力を入れて乗り切るしかない」。
 来島者への警戒心も強まり、新上五島町のあるタクシー会社は5月6日までの予約について、旅行目的での申し込みを断っているという。
 五島市では緊急事態宣言前から観光客が激減し、休館する宿泊施設も出始めた。市観光協会の今村安規子事務局長は「今は何とか耐えているが『どこまで持つか』という雰囲気。(長崎市の)クルーズ船の問題も大々的に報道され、長崎のイメージ悪化も不安」とため息をつく。


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