留学生 入国めど立たず 遠隔授業にも課題 「打つ手なく待つしか…」 長崎ウエスレヤン大と鎮西学院高

20日の授業開始を前に、海外からの留学生の一部の入国にめどが立っていない長崎ウエスレヤン大=諫早市

 新型コロナウイルス感染が世界的に拡大する中、海外からの留学生が多い長崎ウエスレヤン大と鎮西学院高(諫早市西栄田町)で、入国のめどが立たない入学予定者や在学生が相次いでいる。同大は「来日がキャンセルされないか心配だが、打つ手もなく、待つしかない」と苦慮。その間、実施するインターネットによる遠隔授業も、各国の通信環境に左右されるため、教育の質をどう確保するか、頭を抱えている。
 1学部3学科の同大には1日現在、474人が在籍。学部留学生116人のほか、海外出身の日本語教育プログラム研修生やビジネスプログラム履修生ら計約90人が籍を置く。
 政府が3月、中国や韓国、EU諸国、米国などからの入国を制限。各国も移動制限や都市封鎖などの措置を行っているため、同大は春休み中の一時帰国の自粛をすべての留学生に要請。一時帰国した留学生が日本に戻った後、2週間の健康観察を義務付けている。
 現時点で未入国や入学延期者は、系列の鎮西学院高を合わせると、少なくとも130人余り。ネパールの学部生8人やインドの履修生1人は一時帰国したまま。今春、入学予定だった学部生3人、タイとフィリピンの交換留学生、日本語教育プログラム研修生約100人は入国制限の解除待ちで、いずれも時期は流動的。韓国や中国、台湾の交換留学生7人の入学は秋に延期した。
 鎮西学院高も、新入生22人を含む留学生40人のうち、中国からの新入生11人とフィジーの在学生計12人が入国できていない。
 一方、同大は15日の入学式を中止し、20日から授業を開始するが、来日できない学生には遠隔方式で実施。佐藤快信学長は「国ごとの通信環境が違うため、リアルタイムでなく、録画が軸になる。今後、来日したら、2週間の健康観察や公共交通機関での移動回避など課題は多い」と語る。
 私立学校の場合、国や地方自治体からの補助金で運営が支えられている。しかし、5月1日時点の学生数や外国人留学生の受け入れ状況が補助金申請の基礎となる部分があり、学校経営への影響が懸念される。
 「補助金もだが、それより心配なのが日本人を含め、学費を払うのが難しい学生への対応。中間所得層への経済的打撃が大きいはず。延納や減免を考えないといけない」と佐藤学長。教育環境と経済支援-。一歩、先を見越した対応に追われている。

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