大都市の波、長崎にも 対策徹底呼び掛け 長崎大学病院感染制御教育センター長 泉川氏

手洗いや、せきエチケットなど基本的な対策を徹底するよう求める泉川氏=長崎市坂本1丁目、長崎大医学部良順会館

 県新型コロナウイルス感染症対策調整本部のメンバーで長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一氏は8日、報道陣の取材に応じ「県内では感染経路が不明な人はほとんどいない」としながらも、「(緊急事態宣言が発令された)大都市の(感染の)波は長崎にも押し寄せてくる」と述べ、不要不急の外出を控えるなどの対策を徹底するよう県民に呼び掛けた。
 県内ではこれまでに壱岐、佐世保、諫早、松浦4市と西彼長与町で計13人の感染が確認されている。泉川氏は「県内でも感染者は確実に増えてきている」と指摘。「感染経路は一定把握できており手が付けられない状況ではないが、今後、経路が不明な人が出てもおかしくはない」と述べた。経路不明者が増えると封じ込めが困難になるという。
 厚生労働省が提示した計算式に基づけば、流行ピーク時の本県1日当たりの入院患者は推計で約2600人。県はこれまでに102床の受け入れベッドを確保しているが、泉川氏は「急に病床のキャパシティーは増やせない。感染者の8割とされる軽症者には自宅や宿泊施設で療養してもらい、重症者を優先して入院させる運用を考えないといけない」と語った。
 またピーク時の重症者は推計で約90人だが「県内の医療機関ですべてに対応するのはかなり難しい。そこまで増えないようにするのが今の命題」とし、密閉空間、密集場所、密接場面の“3密”を従来以上に避けるよう求めた。

 


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