新型コロナの影響 出入国 一部でストップ 雇い止めの不安も

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は日本の外国人労働者の雇用にも影響を及ぼしている。状況が悪化すれば雇い止めなどの問題にも発展しかねない。
 県北の監理団体は、水産加工分野の業者に中国人実習生27人を派遣している。新型コロナの影響で2月に入国予定だった実習生6人が中国で待機状態となっており、中国側の送り出し機関がネット上で日本語教育などをしているという。
 実習生全員が中国人の同団体。担当者は「中国で一気に感染拡大した時には不安だった。今では、中国は一足先に沈静化に向かっているとも聞くが、事態がどうなるかまだ分からない」と気をもむ。
 諫早市の監理団体は、東南アジア出身の実習生ら約千人を県内の農家や県外の総菜店などに派遣。感染拡大以後、実習生を入国させる場合、入国1カ月前から毎日検温結果を報告してもらい、症状がなければ入国させた上で、2週間健康観察してから活動させている。
 各国による出入国制限や航空便の減便などにより、技能実習期間を終えたのに帰国できない実習生が同団体には約80人いる。約30人は日本で就労できる特定活動の資格を得て働くが、残る約50人は同団体が衣食住を提供し帰国を待つ状態。「長期戦を覚悟している」と担当者。
 外国人労働者や監理団体関係者が恐れるのが、感染拡大が今後も続き、日本国内の経済が失速して雇い止めや休業補償未払いなどの問題が生じること。実習生らの多くが借金を背負って来日し、日本で安定して「稼ぐ」ことが前提となっており、こうした問題に直面すれば彼らの人生プランが一気に行き詰まる。
 外国人問題に詳しい長崎市の青山周広行政書士は「県内でも外国人労働者の需要が減ってくる可能性はある。そうなった場合にどうやって彼らの就労先を確保したり、生活支援したりするか課題だ」と指摘する。

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