北朝鮮非核化へ多国間協議を 米露中韓の専門家が分析・提言 長大レクナHPに掲載、発展の必要性など指摘

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は19日、長崎市役所で記者会見し、海外の専門家4人が北朝鮮の非核化に向けてまとめた分析・提言書を説明した。米朝交渉だけでなく、日韓中ロを含む多国間協議に発展させる必要性などを指摘している。
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による非核化交渉は膠着(こうちゃく)している。最近の停滞は11月に控えた米大統領選や、新型コロナウイルス対応も背景にあるとみられる。
 レクナの鈴木達治郎副センター長は、北朝鮮は核物質の生産を進めている可能性が高いとして「待てば待つほど悪い方向にいく」と強調した。吉田文彦センター長は「国や研究機関にとっては何をすべきか考える準備の時期だ」と述べた。
 分析・提言書は米ロ中韓の専門家が1本ずつ執筆し、英文でレクナのホームページ(HP)に掲載している。このうち米国社会科学研究評議会のレオン・シーガル氏は、北朝鮮は体制維持のため中国と距離を置き、米国の敵対政策をやめさせることを重視していると指摘し、米朝交渉を進めるには、互いに妥協も必要とした。
 分析・提言書の作成は、レクナが2016年に設置した「北東アジアの平和と安全保障に関する専門家パネル」(メンバー23人)の活動の一環。11月には長崎市で同パネルの会合も開く予定。

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