石木ダム問題アートで表現 東京芸大院生らグループ あすまで県美術館

風景写真などを数枚重ね合わせた「あの日のことと、これから」=長崎市、県美術館運河ギャラリー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設問題をテーマに、東京芸術大(東京)大学院生と武蔵野美術大(同)の学生が美術作品を制作。13日、長崎市出島町の県美術館運河ギャラリーで作品展示が始まった。15日まで。
 社会問題をアートで表現する学生4人のグループ「soiのてはじめ」。メンバーは、建設予定地住民の日常を追ったドキュメンタリー映画を通じて石木ダム建設のことを知った。昨年夏ごろから5回ほど来県し、同予定地などを取材。川原(こうばる)地区住民や佐世保市民、長崎市民らから幅広くダムについて話を聞き、感じたことを彫刻や写真、インスタレーション、映像などで表現した。
 同予定地周辺の異なる風景写真などを数枚重ね合わせ1枚に凝縮させた作品をはじめ、川原地区で秋になると咲き乱れるセイタカアワダチソウを使ったり、現地住民の日用品などを木工用ボンドでかたどったりした彫刻、同地区の植物の葉に風景写真をプリントした現代アートなど、約30点が会場に並んでいる。
 東京芸術大大学院美術研究科2年の亀倉知恵さん(27)は「未来について考えるきっかけにしたい。社会問題にあまり興味がない人も、まずはアートを楽しむことで石木ダム問題に関心を持ってもらいたい」と話した。
 作品展は入場無料。同館は24日まで高校生以下の入館を制限している。

住民らが日常生活で使うスリッパや鍋を木工用ボンドでかたどった作品
セイタカアワダチソウを使った作品「The yellow after that」

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