海自佐世保地方総監・中尾氏 インタビュー 「情報収集が重要」

日本の安全保障について語る中尾総監=海自佐世保地方総監部

 海上自衛隊の中東派遣や、日本周辺海域で海洋活動を活発化させる中国など、国際情勢の動向に目が離せない。中尾剛久・海自佐世保地方総監(海将)に、日本を取り巻く安全保障環境について尋ねた。

 -護衛艦と哨戒機の中東派遣をどう受け止めているのか。
 中東が平穏であることは重要だ。日本は原油輸入の約9割を中東地域に依存し、日本の船舶はその地域を航行している。日本船舶の安全確保に必要な情報を収集する意義は大きい。派遣されている隊員は、その重要性を十分把握した上で任務を達成すると思う。

 -軍事的挑発を続ける北朝鮮や、日本周辺海域での海洋活動を活発化させる中国には、どう対応するか。
 山口県西部や南西諸島などを管轄する佐世保警備区は、重大な責任と任務を背負っていると認識している。艦艇や航空機を機動運用し、日本周辺全域の防衛にあたる自衛艦隊と連携しながら、監視活動や後方支援をする。その任務を果たすことが、抑止につながる。

 -陸上自衛隊水陸機動団が創隊2年を迎える。これまでの連携はどうか。
 水陸両用作戦の中核を担う水陸機動団と総監部が佐世保にあることは、定期的に話し合えるなど関係性を築きやすい。地域との関係を一緒に深めることができるパートナーとしても、重要な仲間だ。

 -現行の日米安全保障条約の署名から60年になる。米海軍佐世保基地との関係は。
 海自と米海軍の関係は強い。米国はインド太平洋地域の安全保障環境を重視している。能力の高い強襲揚陸艦アメリカやドック型輸送揚陸艦ニューオーリンズを佐世保基地に配備したことを考えると、われわれと同じ認識に立っていると思う。これからも連携を深める。

 -海自と地域との関わりについて。
 困っているのは、隊員の確保だ。海自はやりがいのある仕事で、女性が働ける環境も整ってきている。多くの人に知ってもらう活動を積極的にしたい。隊員は地域にどんどん入ってほしい。佐世保の皆さんの協力なしでは、われわれの任務や業務は成り立たない。
 

 【略歴】なかお・たけひさ 鹿児島県出身。防衛大29期卒。海上幕僚監部総務部長、海上幕僚監部装備計画部長、舞鶴地方総監などを歴任。昨年8月より現職。佐世保は3回目の赴任。お酒が好きで、1人で飲みに行くことも。「町の人とお話しするのがリフレッシュになる」。趣味は体を動かすこと。57歳。

 


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