臨時休校 卒業シーズンに苦渋 長崎県内、広がる戸惑い

休校期間の過ごし方について担任の話を聞く児童=長崎市立大浦小

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、長崎県内でも28日、すべての公立学校で3月2日以降の臨時休校が決まった。「子どもをどこに預ければいいの」「仕事はどうすれば…」。保護者に困惑が広がる。本県で感染者はまだ確認されていないが、企業や医療機関は対応に追われ、佐世保市のテーマパーク、ハウステンボスなど観光施設の休業やイベント中止も続々と決定。出口の見えない不安に覆われている。

 県内公立校では、目前に控えた卒業式の中止を決めたり、規模縮小を検討したりするなど対応に追われた。「もっと一緒に過ごしたかった」-。卒業シーズンの臨時休校に教職員や児童、生徒からは戸惑いや悲しみの声が漏れた。
 28日午後3時40分ごろ、長崎市立大浦小6年生の教室では「帰りの会」が開かれていた。「大変な事態だということを理解し、行動してほしい。もし学校に来られるなら、引き続き思い出をつくり、『大浦小で良かった』と思って卒業できるように協力して頑張ろう」。増﨑祥宣教諭(53)の言葉に、児童もうなずいた。卒業式を目の前にした臨時休校。糸山琴音さん(12)は「卒業式はしたいけれど、できなくても仕方ない。中学校で離れ離れになる人もいるから、もっと一緒に過ごしたかった」と悲しげな表情を見せた。
 過疎化などに伴い、本年度末で36年間の歴史に幕を降ろす対馬市立浅海中は、3月22日の閉校式を予定通り実施する方針。同校は「内容について今後協議する。手の消毒など対策を徹底した上で開きたい」としている。
 一方、長崎市の県立鳴滝高通信制は8日に予定していた卒業式の中止を決めた。体育館ではなく教室で開催するなど、規模を縮小して実施する方向で検討していたが苦渋の決断をしたという。
 小規模校で、関東や関西などから「しま留学生」として児童生徒を受け入れている五島市立久賀小中は、本年度卒業する児童、生徒計8人のうち6人が留学生。臨時休校中に留学生が実家に帰省することも想定し、17日に予定する卒業式の対応を検討している。
 西村隆校長は「率直な気持ちとして卒業式には出席してほしいが、(帰省した場合は)実家から久賀島への移動中の感染リスクなどもあり、出席が難しい場合があるかもしれない。保護者らと相談したい」と頭を悩ませた。

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