ステップアップの好機 サッカーモンゴル1部リーグに挑む・岩橋聡志

帰省時は地元のクラブチームでコーチも務める岩橋=長崎市営ラグビー・サッカー場

 4~10月、10チームがホームアンドアウェー方式で競うサッカーのモンゴル1部リーグ。日本人選手も多く在籍するこの舞台に、今春から長崎日大高出身の24歳、岩橋聡志が挑戦する。「たくさんの人に支えられて実現した。ステップアップのチャンス。10ゴール10アシストを狙う」。170センチ、65キロのアタッカーは、異国の地で「プロ」としての一歩を踏み出す。

 エリートコースを歩んできたわけではない。高校時代は「スーパーサブ的な存在」。後半の勝負どころで投入され、得点に絡むプレーで貢献していた。城西国際大時代も「中心選手じゃなかった。でも、ずっとプロになりたかった」。Jリーグには進めなかったが、夢を諦めなかった。卒業後、競技力と英語力を高めるため、アイルランドへ渡った。
 日本食レストランで働きながら、「アマチュア契約」でサッカーを続けた。慣れない環境も、きつい仕事も耐えられた。「でも、週2回の練習じゃ物足りなかった」。約8カ月で留学を打ち切り、競技に専念できる「プロ契約」を目指して、同じ英語圏のマルタで約2カ月間のトライアウトに臨んだ。
 ここで一度、心が折れかけた。試合でアピールしたが、運とタイミングに恵まれずに契約まで至らなかった。所属先を見つけられないまま、移籍期間が終了。「これからどうしよう」。不安を抱えたまま、日本に帰国した。
 その後はしばらく落ち込んだが、悩みに悩んだ末、再チャレンジを決意した。「ずっと親にサポートしてもらってきた。自分の名前入りのユニホームをプレゼントするまで終われない」。東南アジアでプレーした知人のつてをたどり、また、単身でタイに飛んだ。
 現地で約2カ月間、トライアウトを受けながら、代理人を通じてモンゴルでもダイレクト契約できるクラブを探した。そこでつかんだ好感触のオファー。1月2日、初めてプロ契約ができた。「待遇も環境も良くてすぐに決めた。お金をもらってプレーする責任がある。厳しい勝負の世界を楽しみたい」
 マイナス30度の極寒の冬を越えると、シーズンが始まる。春の足音とともに、追い求めてきた「プロ」のピッチに立つ日が近づいてきた。

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