ネットで転売横行 ごみ袋の購入補助券 佐世保市 条例規則が禁止も、いたちごっこ

佐世保市が無料配布するごみ袋の購入補助券を売買するフリマアプリの画面

 長崎県佐世保市が市民に無料で配布している家庭用の指定ごみ袋(燃やせるごみ、燃やせないごみ兼用)の購入補助券が、楽天やメルカリなどが運営するインターネット上のフリーマーケットアプリで転売されていることが分かった。市は補助券の譲渡を条例規則で禁止しており、運営側に取引を制限するよう依頼。しかし出品は止まらず、市は頭を抱えている。
 市では、4種類のサイズの指定ごみ袋をセットで販売。各セットには、計180リットル分の枚数の袋が入っている。市は店舗などでごみ袋を販売する際に、袋代に加え、ごみ処理手数料840円を加算して徴収している。一方で住民票がある市民には、この手数料が無料となる購入補助券(1人につき5枚、手数料4200円相当)を各家庭ごとに毎年送付している。
 多くの自治体はごみ袋代に手数料を含めている。佐世保市のように市民向けに補助券を配る制度は全国でも珍しい。市は「市民に自らの排出量を意識してもらい、全体のごみ削減につなげる狙い」と強調。市内のごみ排出量は2000年度にピークの約8万トンに達したが、05年の制度導入後は、5万トン程度となり、約4割の削減効果が出た。
 市は18年に、メルカリのフリマアプリで補助券が売買されている状況を確認。運営会社に取引を中止するよう依頼し、一時的に減った。しかし類似のアプリも登場し、取引はなくなっていない。市は条例規則で補助券の譲渡を禁じているが、過料などの罰則はなく「いたちごっこ」が続いている。
 独自にごみを収集するマンションで暮らしたり、市外へ引っ越す場合は、補助券が余るケースがある。市は、こうした住民が転売している可能性があるとみている。3月は卒業や企業の異動などで住民の転入転出が増えるため、補助券の転売が増える恐れもある。市廃棄物減量推進課は「補助券は市民の税金であり、転売はやめてほしい。環境問題を考えて導入した制度の趣旨を理解してもらいたい」としている。

 


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