4年がかり炭窯お目見え 「温まり触れ合える場に」 長与・堂崎地区

地域の女性たちが点火した火入れ式=長与町岡郷

 長崎県西彼長与町岡郷堂崎地区にあるミカン畑の一角に、住民らが約4年かけてつくった炭窯の火入れ式が20日あり、関係者にお披露目された。「堂崎公民館ふれあいの炭竈(がま)」と名付け、冬の間だけ炭をつくる。住民のコミュニケーションの場にと期待されている。

 同公民館(岩永正富館長、7世帯11人)が地域活性化のために何かできることをと考え、地区外の人の力も借りながら4年前につくり始めた。台風被害を受け作業が中断するなど、完成までの道のりは長かったという。
 炭窯は直径約1.8メートルの円形で高さ約1.5メートル。耐火性に着目し、窯の壁は古瓦を手のひらサイズに割って積み重ねた。編んだ竹と赤土でつくった屋根が窯全体を覆い、そばには寒い時季に暖を取るいろりもある。
 式には住民や地区内の事業所、町関係者ら約40人が出席した。カシの木がぎっしり詰まった窯に女性2人が火をくべると、しばらくして煙突から煙が立ち上った。炭は今後、関係者で使うなど有効活用していく予定という。
 中心となって築造に関わった同地区の農業、小林明さん(79)は「手探りでつくってきた。今の時代に炭窯なんてと思われるかもしれないが、寒い時に温まりながら触れ合える場になってほしい」と話した。窯出しは1月31日の予定。

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