対馬いいね!海外へ英語動画 初回は特産アナゴ 春にも配信、誘客狙う

スマートフォンの自撮り機能を使い、対馬のPR動画のオープニング部分を撮影した稲垣さん(左)とメドーズさん=対馬市厳原町、小茂田浜神社

 日韓関係の悪化で、韓国人観光客が激減した長崎県対馬市。米国人の外国語指導助手(ALT)と日本人大学生が、自らが暮らす島の魅力を取材し英語で説明した動画を制作し、欧米からの誘客につなげようと準備を進めている。初回のテーマは特産のアナゴ。今春にも動画サイト「ユーチューブ」で配信する予定だ。

 取り組むのは、米インディアナ州出身のアンドリュー・メドーズさん(31)=ハンドルネーム・安藤龍(アンドリュー)=。もう一人は横浜出身で昨年4月から対馬市の非常勤職員「島おこし協働隊員」となり、地域活性化に当たる明治大商学部3年の稲垣理美(りみ)さん(22)=同・Rimy(リミー)=だ。
 昨年11月上旬、秋の例大祭でにぎわう同市厳原町の神社に、2人のはつらつとした英語の声が響いた。オープニングの“自撮り”風景。日本語に直すとこうだ。「対馬についてたくさんのことを学んできた。それをみなさんに伝えたい。さぁ、行こう」
 メドーズさんは、インディアナ大サイバーセキュリティー学科在学時から日本文化に関心があったという。IT企業勤務を経て、2015年にALTとして赴任し、対馬の小・中学校で英語授業の支援をしている。
 「最初は対馬弁に戸惑った」というメドーズさんは授業支援のほか、対馬博物館展示室の解説パネル英訳などに協力する中で、島の歴史や文化の奥深さにひかれるようになった。任期は1年ごと。しかし、もう1年、さらに1年と、任期を4回も延長した。最終の任期は今年7月まで。現在は対馬南部の6校で指導する。対馬で最も難しいとされる豆酘(つつ)地区の方言も「少し分かるようになった」。
 心配の種は昨夏以来、途絶えた韓国から対馬への客足。そこで、英語での配信を通じて誘客の多角化につなげ「対馬の役に立ちたい」と思い立ち、知人の稲垣さんを誘った。
 同市上対馬町では、アナゴ料理店で“食レポ”にも挑戦した。「サクサクして、めちゃくちゃおいしい。これ、東京で食べたら高いですね。全然、食感が違う」。「アナゴの天ぷら」(1皿1200円)に稲垣さんは興奮ぎみ。メドーズさんも「Amazing(すごい)!」と驚きの声を上げ、いけすやアナゴ漁船も絡めて撮影した。
 メドーズさんは「これからもニホンミツバチなど、対馬ならではの素材を紹介したい。ターゲットは欧米だが、韓国にも米軍人やその家族がいるので誘客につながりやすいだろう」と語る。稲垣さんも「一般的な日本旅行には満足しないコアな客層を狙っている。多彩な対馬の魅力を紹介することで、リピーターになってもらえたら」と話す。ユーチューブ配信時のチャンネル名は「Tsushima adventure(ツシマアドベンチャー)」と名付ける予定だ。

上対馬町の料理店で、対馬特産のアナゴ料理を味わう2人

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