プログラミング教育「何を教えたいのか漠然」 長崎県立大情報システム学部教授・山口文彦氏

「まずはプログラミングを楽しんでほしい」と話す山口教授=西彼長与町、県立大シーボルト校

 プログラミングが専門の長崎県立大情報システム学部教授の山口文彦氏に、必修化の意義などを聞いた。

 -プログラミングとは。

 簡単に言うと、コンピューターへの命令(プログラム)を書く行為。コンピューターは機械なので命令しないと動かない。正しく動かそうと思ったら手順を最初から最後まですべて指示しないといけない。例えば作曲もプログラミングのようなもの。楽譜は音を鳴らす順序や繰り返しなどの手順を示している。

 -必修化の意義は。

 コンピューターを正しく動かすためには、物事を分析して理解する力、手順として構成する力、言葉で説明できる力などが重要。プログラミングを試みることで、そういう「論理的思考」が養われる。他の学問を理解する力にもなる。
 また子供のころにコンピューターの仕組みに気づく意味は大きい。コンピューターは何でもできると思われがちで、人は人工知能(AI)に仕事を奪われるとも言われるが、仕組みを知ることで無駄に恐れる必要はない、と分かるようになる。

 -課題は。

 何を教えたいのか漠然としている。(道徳や英語の教科化など)教員の負担は増えている上に、現場に丸投げされてものすごく大変だろう。教えるべき内容を理解している教員と、一応やりましたという教員に二極化してしまうのではないか。例えば授業時間数を決めるなど教科化した方がやりやすいと思う。

 -期待は。

 まずはプログラミングを楽しんでほしい。先に楽しみがあって、結果として求められる力が身に付けば望ましい。

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