小型核のアジア配備検討 「的外れ」と米専門家 長崎で講演

米中の核政策について話すカラーキー氏=長崎市平野町、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 米国の非政府組織(NGO)「憂慮する科学者同盟」メンバーで、米中の核政策を専門とするグレゴリー・カラーキー氏(62)が11日、長崎市で講演した。米政府が中国をけん制するため、従来より破壊力を抑え「使える核」とも称される小型核弾頭のアジア配備を検討していることについて「的外れだ」と批判した。
 カラーキー氏は、米国やその「核の傘」にある日本の政府内には「中国は大型核弾頭しか持っておらず、使おうとは思わないだろうという考えがある」と指摘。一方、中国は核の先制不使用の方針を堅持し、報復のためだけに核を持っていると分析した。「日米と中国の間には認識のずれがある。戦争になれば恐ろしいことになる」と述べた。
 米国では核軍縮の専門家の中にも、核の使用は正当化されうると考える人が一定いると紹介。被爆国でありながら米国の核戦略を支持する日本政府の姿勢は「全く理解できない」と述べた。核廃絶に向けた草の根運動の大切さも訴えた。
 講演会は、県と長崎市、長崎大でつくる核兵器廃絶長崎連絡協議会が開き、市民ら約70人が参加した。

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