戦争孤児の思い 切々と 追悼平和祈念館 平和願い朗読や映画上映

朗読を発表する「想いを未来につなぐ朗読の会・つくば」のメンバー=長崎市、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市平野町)は15日、芸術文化を通じて戦争や原爆について考えるイベント「NAGASAKI Love&Peace Message 2019」を同館で開いた。来館者が朗読や映画などを楽しみながら平和な世界の実現を願った。
 同館が2010年から昨年まで開いた「長崎国際平和映画フォーラム」を一新し、初めて開いた。被爆体験の朗読をしている同館のボランティア組織「永遠の会」や茨城県つくば市を拠点に原爆の惨禍を伝える活動をしている「想(おも)いを未来につなぐ朗読の会・つくば」などが出演。原爆投下前後の広島を描いた映画「ひろしま」の上映もあった。
 想いを未来につなぐ朗読の会は、戦争孤児を育てるため、長崎市岩屋町に設けられていた養護施設「向陽寮」の寮生の手記などを朗読。戦後を生き抜いた孤児たちの思いを訴えた。
 同会代表で長崎原爆の被爆者の鶴文乃さん(78)は「向陽寮の存在を知らない市民も多いので、多くの人が忘れないでいてほしい。子どもが幸せに暮らせる国であるため、小さな行動を続けていきたい」と語った。

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