外国人技能実習生 介護現場でじわり増加 長崎県が奨学金助成で人材確保支援

施設利用者(左)と笑顔で触れ合うミャンマー人の技能実習生=長崎市油木町、特別養護老人ホーム・サンハイツ

 外国人技能実習制度の対象職種に「介護」が加わり2年が過ぎた。人手不足に悩む介護現場でじわりと増えつつあり、長崎県内では8事業所で計17人(12月5日現在)の技能実習生が働いている。県は介護分野を目指す留学生の奨学金の補助制度を新設するなど、人材確保に動き始めている。

■在留資格4種類
 県が8月に実施した調査(対象336事業所、回答率70.5%)によると、県内の介護分野で働く外国人は、実習生を含み約70人。内訳はアルバイトの留学生(週28時間以内)が約50人で最も多かった。
 介護分野の在留資格は、2017年11月に始まった技能実習のほか、経済連携協定(EPA)枠(08年7月開始)、専門学校などで学び介護福祉士の資格を取得すれば認められる「介護」資格(17年9月開始)、今年4月に新設された「特定技能1号」の4種類。

■「言語能力高い」
 「長く働いてもらうためにはどの資格で雇用するのがいいのか。今は模索中」。長崎市内で特別養護老人ホームなど計18事業所を運営する社会福祉法人致遠会(野濱哲二理事長)は、17年にアルバイトの留学生を初めて雇用。在留資格が“乱立”する中、試行錯誤しながら外国人雇用を進めている。
 野濱理事長は「少子高齢化が進む中、日本人だけでの職員確保は困難」と将来を見据え、今年7月、初の実習生となるミャンマー人の女性2人を受け入れた。「言語能力が高くお年寄りの受けもいい。マイナスの印象は一切ない」
 入所者との日常会話を難なくこなす実習生のノーテービューさん(26)は「日本は頑張れば頑張るほど評価してもらえる国。ずっと働きたい」、ニンウィッイーナインさん(23)は「小さなことでも(利用者の)役に立つことがうれしい。この仕事が好き」と優しさをにじませた。
 致遠会は11月に同国からさらに5人の実習生を受け入れた。このほか留学生24人、「介護」資格の3人も雇用しており、ネパールやベトナムなど5カ国の外国人が6事業所で働く。今後、技能実習を3年終えれば移行可能な特定技能1号での雇用も検討していくという。

■3300人不足
 一方、「介護」資格の取得を目指す留学生の中には、就労先の事業所から奨学金として学費などを給付・貸与されている場合も少なくない。大半は、卒業後にその事業所で一定期間、働くことなどを条件に返済が免除される契約という。
 永住も家族帯同も可能な「介護」資格を取得できれば、県内に定着する可能性は高まる。そうにらみ、県は10月から奨学金の3分の1を補助する制度を始めた。支給する施設の負担軽減を図り、外国人を雇用しやすい環境を整備していきたい考えだ。
 県の試算では、25年度に介護職員は約3300人不足する。県長寿社会課は「不足分の3分の1程度は外国人でカバーできないかと考えている。事業者と連携して取り組んでいきたい」としている。

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