銃弾貫通した飯ごうなど360点 蘇るあの時代「若者に伝えたい」 戦中・戦後のくらし 長崎展 12月15日まで

銃弾が貫通した飯ごう(右、パラオ・ペリリュー島で収集)や破損したおわん(硫黄島で収集)=長崎歴史文化博物館

 昭和館(東京)主催の巡回特別企画展「戦中・戦後のくらし 長崎展」(県連合遺族会および日本遺族会第5ブロック協賛、長崎新聞社など後援)が11月30日、長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館3階企画展示室で始まった。戦時下や戦後の生活などを物語る実物資料や写真約360点(うち長崎県関連約250点)を展示。無料。15日まで。
 2001年から都道府県庁所在地で順次実施されており、長崎展は初めて。長崎県では長崎原爆と比べて、先の大戦自体の関連資料や証言の収集が遅れているとされ、戦没者遺族らが開催に期待を寄せていた。
 開会式には約50人が出席し、厚生労働省社会・援護局の泉潤一援護企画課長らがあいさつ。山下裕子県連合遺族会会長は「戦争のない世の中となるよう、若い人に伝えていただきたい」と述べた。
 銃弾が貫通した飯ごうなど激戦地で収集された遺留品、県内で保管されていた警防団腕章や防空頭巾、中国からの引き揚げ時のリュックサック、動員学徒や中学生の教練査閲時の写真-。会場では、蘇(よみがえ)る記憶を確かめるように実物資料を見詰める高齢者の姿も見られた。
 硫黄島で父が戦死した長崎市の久冨征子さん(75)は「戦後のくらし(の展示)を見て懐かしいような嫌なような。戦後、自分は小さかったけれど母が一番大変だったろう」。めいの中川五見さん(58)は「戦争の悲惨さを継承していかなければ」と語った。
 永井隆博士自筆の「この子を残して」紙芝居草稿の展示や、証言ビデオの映写などもある。

戦中戦後のくらしが分かる実物資料や写真などを展示した会場=長崎歴史文化博物館

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